
結論: その不安は、あなたが真剣に患者さんと向き合おうとしている証。新人であっても、あなたはチームの一員です。
はじめに
こんにちは、miuです。
5月、6月。この時期は、新人看護師・助産師さんにとって大きなステップである「夜勤」が始まる頃ではないでしょうか?少しずつ日勤の流れに慣れてきたと思ったら、また新しい挑戦がやってくる──そんな気持ちで心が落ち着かない方も多いかもしれません。
でも、まずはここまでよく頑張ってきましたね。
毎日が初めてのことばかりで、心も体もクタクタになりながら、それでも一歩一歩前に進んでこられたこと、本当に素晴らしいです。すでに自分の軌跡できていますよ。
夜勤が始まると、日勤とは違った緊張感がありますよね。「自分にできるかな」「もし急変があったらどうしよう」そんな不安な気持ちは、あなたが“患者さんの命を守りたい”という責任の気持ちを持っているからこそ、自然に湧いてくるものです。
責任感が強いあなたが、その場に真剣に向き合おうとしている証拠。だからこそ、不安を抱える自分も認めてくださいね。
新人看護師・助産師が夜勤前に感じる不安

まだ、やっと日勤に慣れてきたところなのに、もう夜勤なんて…。私にできるかな…。何をどうしたらいいのだろう、漠然とした不安がある…。
皆さんも、この新人看護師のように夜勤に向けての「不安」はありますよね。では具体的にどんな不安があるのでしょうか?漠然とした「不安」をしっかりと言語化して、その対策を考えることが重要です。新人さんが夜勤に向けて不安に感じやすいことを以下にまとめました。当てはまることはあるでしょうか?
不安なこと | 内容の具体例 |
---|---|
急変対応ができるか不安 | 夜間は医師や先輩が少ない時間帯もあり、「何か起きたら自分で対応できるのか」と不安になる。 |
ひとりになるプレッシャー | 日勤と違い、夜は人数が少ないため「自分が責任を持たなきゃ」という重圧を感じやすい。 |
休憩が取れないかもしれない | 忙しくて仮眠や休憩が取れず、体力的にも精神的にもつらいかもしれないという不安。 |
眠気や体調管理の不安 | 夜勤に体が慣れておらず、眠気や体調不良にならないかが心配。 |
患者さんの状態変化に気づけるか | 夜間の見回り中に、少しの変化でも気づけるか自信がない。 |
記録や申し送りの不安 | 夜勤中の記録や、朝の申し送りでうまく伝えられるかに不安を感じる。 |
助けを呼べるか心配 | トラブル時にすぐ先輩に相談できるか、対応に迷わないかが気がかり。 |
夜勤に入る前に誰もが感じる不安を整理し、実際にどんな悩みがあるのかをまとめました。
多くの新人看護師・助産師さんが感じる不安なことです。不安に思うことはあなただけではなく、むしろ普通のことです。漠然とした不安を可視化して、その対策を行う必要があります。
では、この不安なことに対して、どのように向き合って準備していけばいいのでしょうか?私の視点と考え方、事前準備についてお伝えしていきたいと思います。

誰しもやったことのない、初めての状況は緊張するものです。ましてや夜勤では、スタッフの人数も少なく、行うタスクや責任も大きく感じられると思います。このプレッシャーを解決するには、流れを確認すること、事前準備を行うことで、気持ちも少しゆとりを持つことができます。
夜勤の一般的な流れ(2交代制・3交代制)
では、具体的な夜勤のスケジュールを確認しましょう。夜勤には2交代制(日勤と夜勤)、3交代制(日勤・準夜勤・深夜勤)のパターンが多くあります。各病院の特色もありますが、多くの場合のスケジュール例を紹介します。
2交代制:夜勤の一般的な流れ(例:16時間夜勤の場合)
時間帯 | 主な業務内容 | 補足・ポイント |
---|---|---|
16:30~17:00 | 出勤・情報収集 | 日勤帯からの引き継ぎを受ける。記録や患者情報の確認。 |
17:00~18:00 | 申し送り・環境整備 | 夜勤メンバーで申し送り、患者の安全確認、ベッド周りの整理など。 |
18:00~20:00 | 配薬・食事介助・観察 | 夕食の配膳・介助、内服薬の確認と与薬、バイタルサイン測定など。 |
20:00~22:00 | 巡視・ナースコール対応 | 就寝準備、トイレ誘導やオムツ交換など、落ち着いたケアが求められる時間帯。 |
22:00~翌5:00 | 巡視・記録・仮眠 | 1~2時間おきの巡視。交代で仮眠(休憩)を取ることも。記録業務を進める。 |
5:00~6:00 | 起床援助・モーニングケア | 洗面やトイレ誘導、必要に応じて体位交換・清拭などを行う。 |
6:00~7:00 | バイタル測定・朝食準備 | 朝のバイタルチェック、血糖測定、朝食準備や与薬の準備。 |
7:00~8:30 | 申し送り・記録の仕上げ | 日勤者への申し送り、記録の最終確認、環境整備など。 |
夜勤がどのように進むのかを時系列で把握することで、心構えがしやすくなります。
3交代制:準夜勤の一般的な流れ(例:16:30〜0:30)
時間帯 | 主な業務内容 | 補足・ポイント |
---|---|---|
16:30〜17:00 | 出勤・情報収集 | 日勤帯の患者さんの情報や記録を確認します。 |
17:00〜18:00 | 申し送り・環境整備 | 日勤スタッフからの申し送りを受け、ケアの準備や環境確認を行います。 |
18:00〜20:00 | 食事介助・与薬・観察 | 夕食の配膳・介助、内服薬の投与、バイタル測定などを行います。 |
20:00〜22:00 | 就寝援助・巡視 | 消灯準備、体位変換、オムツ交換など。ナースコール対応も増える時間帯です。 |
22:00〜0:30 | 記録・状態観察・引き継ぎ準備 | 夜間の状態を記録し、深夜勤への申し送りの準備をします。 |
食事介助や与薬、巡視や記録など、準夜勤で担当する業務をまとめました。
3交代制:深夜勤の一般的な流れ(例:0:00〜9:00)
時間帯 | 主な業務内容 | 補足・ポイント |
---|---|---|
0:00〜0:30 | 申し送り | 準夜勤からの引き継ぎを受け、患者さんの状態を共有します。 |
0:30〜3:00 | 巡視・記録・ナースコール対応 | 状態観察や記録整理、トイレ誘導や不眠の方への対応など。 |
3:00〜5:00 | 交代で仮眠・記録整理 | 状況を見て1人ずつ仮眠を取りながら、記録を進めます。 |
5:00〜7:00 | 起床援助・モーニングケア | 洗面、体位変換、必要時は清拭など、朝の準備を行います。 |
7:00〜8:30 | バイタル測定・朝食準備・与薬 | 血糖測定やバイタルサインチェック、朝食の準備・投薬など。 |
8:30〜9:00 | 申し送り・片付け | 日勤スタッフへ申し送りを行い、環境整理や記録を仕上げます。 |
落ち着いた時間帯でも責任は大きい。深夜の役割と流れをしっかり把握しておきましょう。
2交代制・3交代制も、流れは似ている部分があります。2交代制は勤務時間が長くなり、仕事量も多くなりますね。まずはそれぞれの時間帯の特徴を知っておくことで心の準備がしやすくなります。巡視や記録、朝のケアなど、夜勤ならではの業務も確認しましょう。

夜勤のスケジュールは、患者さんの状態によって変わります。一般的なスケジュールの他に、外来対応、急変対応、分娩管理など、各病棟の特色にあった対応が必要となります。それぞれの病院の特色も、把握しておきましょう。
夜勤の現場では、”チームとしての1人”
さまざまな診療科がありますが、どの診療科も夜勤は日勤と比べてスタッフの数が少ないため、業務の幅が広がったり、瞬時の判断を求められる場面もあります。
もちろん、最初のうちは先輩が一緒に夜勤に入り、できる限りフォローしてくれる体制が整っているはずです。
ただ、状況によっては先輩も動き回らなければならず、「教えてもらう時間がない」「一人で判断しなければならない場面がある」と感じることもあるでしょう。
でもそれは、“一人前として仲間に加わる”という、成長のステージに立っているということ。
あなたは決してひとりぼっちではありません。”チームとしての一人”ということです。

先輩が離れている時、自分の判断での対応、「できるかな?」と思うかもしれませんが、すでに日勤でつちかった対応が身についています。自信を持って対応しましょう。迷ったら、その場で回答せずに、持ち帰って先輩に確認すればいいのです!
夜勤前にしておきたい「3つの準備」
① 緊急時の手順や物品の確認
夜勤では、患者様の突然の急変や輸血、緊急処置などの対応がそれぞれの診療科に応じて必要になることがあります。まずは手順やマニュアルに目を通し、必要物品の名前と保管場所を確認しておきましょう。
そのような緊急の対応はあまりあることではないかもしれません(できればない方がいいですよね。)が、だからと言って知らなくて良いということにはなりません。
久しぶりの状況であっても、「確か、これ、見たことある!あの棚にあったな」と思い出せるだけでも、記憶のフックができ、その結果スムーズに動くことができます。
現場を離れることができない医師や先輩は、物品を持ってきてくれる、それだけでもとてもスムーズに対応できます。チームとして、状況を乗り越えられれば良いのです。

切迫した状況は、新人、ベテラン関係なく非常に緊張します。まずは落ち着いて、流れを確認、そのためには事前に対応の確認がとても大切です。あらかじめ実際の物品の場所、必要になりうるものや薬品セットなど、準備しておけるといいですね!
② 自分の生活リズムを整える
そして体調管理ですが、夜勤前はたっぷり寝ておくのが理想です。
…でも、現実は難しいことも多くあります。それでも出勤前の昼に2~3時間の仮眠を取り、夜勤に備えるのがおすすめです。
体調を整えることができないと、患者さんの対応どころか、注意力が散漫となり、インシデントのきっかけとなりえます。自分の体調管理は、結果的に患者さんのためになるということに繋がります。患者さんのために、自身の体調管理を行いましょう。
そして夜勤明けは、軽い食事と短めの睡眠(3時間ほど)→夜は早く就寝というリズムで体調管理をしましょう。自分のプライベートの充実を図り、リフレッシュすることも、結果的に仕事へのモチベーションにも通じます。そして自分が元気にいられると、患者さんへのケアの質にも繋がります。
自分を大切にすることについては、過去の記事でも似たテーマを扱っています。→まず自分を幸せにすることが、誰かを支える力になる理由はこちら。こちらも参考にしてみてください。
仕事の後のコンディションを整えることもとても大切ですね。

若いスタッフは、寝ずに夜勤に来て、明けでお出かけなんて偉業をこなすスタッフもいます。でもそれは、慣れてきてからできることです。まずは、夜勤の勤務に集中して臨みましょう。体調管理も社会人として、医療スタッフとしてとても大切な仕事です。
③ 先輩の動きやチームの流れを観察する
そして少し余裕が出てきたら、先輩の動きをみてみましょう。先輩たちは、常に数手先の動きを見越して動いています。「このあと必要になる物品は?」「医師の指示をどう先読みしている?」「今後の患者さんの状況の予測」「その間の他の患者対応」「ベットコントロール」など。たくさんの予測をして、指示を出している様子を観察するだけでも多くの学びがあります。いづれは自分がその判断をする立場になることも考えて、考えられるといいでしょう。

それぞれの診療科での、病態や状況で何となくパターン化してくる業務があると思います。医師の指示や考え方のパターンを理解することも、先読みの対応ができることにつながると思います。日勤での仕事をしてきて、少し見えてきたところもあると思います。そしていずれ自分も先輩になります。ぜひ今のうちに対応を学んでいきましょう!
「チームの一員」としての自覚を持とう
そしてぜひ意識を持ってほしいことが”自分はチームの一員であること”です。
初めてですものね、「私なんて何にもできない…」「足を引っ張ってしまわないかな…」
そう思ってしまう気持ちもわかります。でも、新人であっても、あなたはチームの大切な一員です。
夜勤では、一人でも動けるスタッフが増えることで、先輩たちがどれだけ助けられているか、想像できますか?
物品を素早く持ってきてくれる、伝達を丁寧にしてくれる、それだけでも現場は大きく助けられています。そしてもうすでにその行動はチームの一員です。
あなたが先輩を頼りにしているように、先輩はあなたを本当に頼りにしていますよ。
そして、あなたができることを確実にやろうとしている姿は、しっかりみられており、安心感を与えています。

夜勤でスタッフの人数が少なくなるだけで、責任の重さがさらに重く感じると思います。そして夜というだけでも何となく不安感が募る状況にもなりえます。夜勤の相棒は、持ちつ持たれつ!お互いに信頼しあって、助け合うとても大切なチームメンバーです!先輩もあなたがいることを頼っています。
私の夜勤体験より:緊張と成長と、感謝の記憶
私も夜勤では、リーダーとして助産師として、現場を動かすことが多くあります。
その中で、例えば出産が時間的に重なりそうな時、体はひとつなのに、お母さんたちふたつの命とそのそれぞれの赤ちゃんの命を守る準備をしなければならない。そんな場面に何度も直面してきました。
状況的にはとても切迫しており、バタバタと準備を行う時です。
そんな時、相棒のスタッフが私の考えを先読みして動いてくれた時、どれだけ心強かったか、とても頼りになり、なくてはならない存在でした。今でもそうですね、本当にありがたいです。
その相棒が新人さんであっても、「あの物品が必要そう」「先に声をかけておこう」と思って動いてくれたら、すっごく嬉しい!とても助かる!ありがとう!と感謝の気持ちいっぱいになります。
それだけでチーム全体の動きも気持ちも大きく変わります。
そして、全ての準備と連携のもと、お母さんと赤ちゃんが無事に元気に出産を終えた瞬間。そのやりがいと達成感は、何度経験しても感謝しかありません。「このチームで働けてよかった」そう心から思える時間です。本当にホッとしますよね。

医師も看護師もコメディカルも、一緒に乗り越えられることは、みんなの達成感もチームで味わえるということです。みんなで助け合って、協力して、乗り越えて、やりがいも倍増、大変さも、乗り越えたことも共感できる仲間がいます。ぜひみなさんもこの感覚を味わってほしいですね!
まとめ:不安は力に変わる。あなたの存在が支えになる

では今日のまとめです。
「自分のできることをやる」
「必要なときは迷わず相談する」
「自分もチームの一員として、誠実に向き合う」
今日の記事はいかがだったでしょうか?
夜勤は決してあなたはひとりではありません。必ずチームとして動きます。安心して動いてください。あなたはまだ未熟かもしれないですが、チームの一員として支えられ、支えることは、もうすでに始まり、すでにできているのです。これからも、あなたらしい一生懸命さと優しさで、患者さんやスタッフと向き合っていってくださいね。応援しています。

miu|助産師・2児の母・ブログ運営中
20年以上、病院で助産師として勤務。新人時代の不安や戸惑い、子育てと仕事の両立に悩みながらも、周りに支えられてここまできました。
このブログでは、助産師学生・看護学生、そして働くママたちが「今日もがんばったね」「ちゃんとやってるよ」と、自分を優しく認められるような言葉を届けています。
あなたがちょっとだけ元気になれる、そんな場所になりますように