
結論: 厳しく感じた指導も自分の栄養になり、経験になり、そしていづれ誰かの力になります。その指導は、あなたに本気で向き合ってくれている証です。
はじめに:実習中の”怖い指導者”の申し送りへの戸惑い
こんにちは、miuです。みなさん臨床実習は始まりましたか?指導者さんとの関わりはどうですか?厳しいと感じることはありますか?
これから実習にのぞむ学生さんへの心構えの記事はこちらを参考にしてください。→不安な看護学生さんへ|実習前に知っておきたい3つの心構えと準備
今日は看護学生さん、助産師学生さんに向けて、実習での指導者さんや現場のスタッフさんとの関わり方についてお話ししたいと思います。
実習が始まると、グループごとに病棟をローテーションで回りますよね。中で、学生さん同士の情報交換も活発に行われ、「〇〇病棟の△△指導者さんは厳しい」「あの先輩は怖い」などといった話も耳にすることがあるでしょう。行く前からストレスで、心配になりますよね。
もちろん、そして実際の自習先では、しっかりと事前学習をして臨んでも、現場では自分の知識が十分に生かせなかったり、言葉にする難しさを感じたり、指導者さんからの率直な指摘に戸惑ったりと、心が折れそうになることもあると思います。
でも大丈夫。
今日は、私自身の学生時代の経験と、現在の指導者としての視点の両方から、皆さんの実習を少しでも前向きに乗り越えるヒントをお届けします。
なぜ実習中に指導者が「怖い」「つらい」と感じるのか?
では、なぜ実習中に指導者が「怖い」「つらい」と感じてしまうのでしょうか?私の体験も含めてお伝えします。まず、こんな経験はありませんか?
- 指導者さんに話しかけたいけど、今は忙しそうで躊躇してしまう(邪魔になりそうだな…私たちは空気…壁になっている…)
- わからなかったことを質問してもいいのかな?と悩む(そんなこともわからないの?勉強不足と思われないかな?)
- 真っ直ぐに考えを問い出されたり、鋭く指摘されたことで萎縮してしまう(勉強不足で理解不足だからはっきりと答えられない、記憶が曖昧でうまく言葉にできない…)

どうでしょう?実習あるあるなのではないでしょうか?私も学生時代、同じように悩みました。現役の看護師も助産師も、必ず学生時代を通って、今の自分があります。指導者もかつて学生でしたからね!
私の学生時代の経験
指導者さんへの眼差し
私が助産師学生の頃、指導者さんは10年以上の経験があり、1000件以上の分娩介助を行ってきた大先輩でした。判断は的確、指導は鋭く、「根拠は?」「〇〇の定義は?」と毎回しっかりと自分の考えを求められました。
指導者さんの指摘は、率直でいつも正解ですよね。その突っ込んだ質問、問いかけが正論で圧倒されたり、自分の未熟さがズバズバ指摘され、自分を否定されたような気分になることも、傷ついたこともありました。正論は時に人を傷つけてしまうと言われますが、まさにそのような気持ちでした。
当時はそれがとても厳しく感じ、実習が怖いとすら思った日もありました。自分に自信がなかったのですよね。
それでも指摘された部分を必死で学び直し、少しずつ理解できるようになった自分に自信を持てるようになったのを覚えています。指摘がたくさんあったため、課題もたくさん見つかったこともこの時期ですね。
でも、その指導者さんは、患者さんへの声かけに学生の私がが困っていると、すかさずフォローに入り、「学生さんだから、勘弁してね。これはこういうことでね…」と。学生の失敗もいつの間にか会話の流れの一部になるような感じで、患者さんへの気遣いと共に、学生への励ましも込めて話してくださっていました。すごく感動したことを覚えています。
ただただ、〇〇指導者さんは「怖い」「厳しい」と申し送りを受け、間に受けていた自分は、先にレッテルを貼って、思い込んでいたのだと反省もしました。
それからの実習は、指導者さんの厳しい言葉の中にも、とても愛情を感じ、励ましの言葉に聞こえるようになりました。そして指導者さんの患者さんとの信頼関係を一瞬で築く姿に、「すごい!神様みたい!」と尊敬の眼差しを向けていました。とても学びのある実習になれたと感じました。

実習前の学生間の情報は、素直でありのままでとても参考になることが多いでしょうね。でも、指導者さんとの関係も人間対人間の関わりです。相手をよく見て、その人を理解すること、指摘そのものを受けるより、その意味も考えられると学びも多くなります。自分の視点も大事にしてくださいね。
指導者も実は悩んでいる?“厳しさの裏側にある指導者の本音”
その後、私は助産師として就職し、なんとその実習で出会った指導者さんの元で働くことになりました。学生時代からお世話になった大先輩で、本当に嬉しかったし、その先輩のようになりたい!と思っていたことを思い出します。
実際にスタッフとして一緒に働いてみると、その先輩はとても気さくで、冗談も交えながら新人の私にも話しかけてくれる優しい方でした。優しさもあり、しっかりと自分を持っている先輩で、医師へもしっかりと意見を言える方でした。医師からの信頼も厚く、新人の私からは本当に本当に尊敬できる方でした。
でも、実習で学生が来ると……表情が一変し、厳しく、そして丁寧な指導を始めました。私が知っている学生へ鋭い指導の、あの指導者さんです。
そしてその日の実習時間も終わり、学生さんが帰った後、「はあ、厳しくするのも疲れるね。あなたの時も、私の気を引き締めるためにも、こんな顔してやってたんだよ〜」と安堵の顔。初めて見た、先輩の本音。ニコニコ笑うその先輩の姿に、改めて”すごい”と感動!さらに尊敬の気持ちが増したのを今でも覚えています。
そう、指導者さんも人間です。
先輩も指導者として、“学生を育てたい”という責任感と、“現場の患者さんを守る”という使命の両方を抱えながら、学生と向き合っていたのです。私はこんな思いを持って指導をしてくださっていたことに、本当に感謝し、私もそんな先輩になれるように頑張りたいと励ましていただきました。今でもずっと尊敬しています。

なんとなく”指導者さん=怖い、厳しい”ですよね。学生中、すぐに”指導者さん=責任ある存在、尊敬”にはならないことが正直なところかと思います。すぐにそんな存在と思うことができなくても、人と人との関わりの中で指導者さんの本音も気づけるといいですね!
実習中の学生が困っていること & 実習指導者が思っていること
では、具体的に実習中の学生さんの気持ちと、臨床指導者さんの思いについての心の中を見てみましょう。
① 質問していいタイミングがわからない

質問したいことがあるけれど、今忙しそう…。タイミング悪かったら迷惑かな…。でも話しかけたら怒られそう。ドキドキ…。

今は手が離せないけど、後でゆっくり聞ける時間があるかな。躊躇せずに、どんどん聞いてくれていいのに。声かけてくれないと答えられないのになあ…
ワンポイントアドバイス

学生さんは、声をかけずらい、指導者さんは質問を受けるスタンスはできている。実習に来ているのは学生さんです。勇気を持って「お忙しいところすみません、質問があるのですがよろしいですか?あとで5分ほどお時間いただけますか?」と前置きすると、相手のペースも尊重しながら話せます◎せっかく実習に行っているのですから、積極的に行動しましょう。
② 「こんなこと聞いたらダメかな?」と思って質問できない

わからないことがあるけれど、こんな内容聞いたら基礎のことすぎるかな…。馬鹿にされたら嫌だな…。でも、わからないことがわからない部分もあるのだよなあ…。

なかなか質問してこないなあ…。基本的なことほど、今のうちにしっかり聞いてほしいな。質問してくれる=興味を持ってくれている証拠だなあ。学生さんのうちはわからなくて当然だしね。私もそうだったなあ。
ワンポイントアドバイス

臨床指導者は、学生が理解できている、わかっているとは思っていません。(経験しないと身につかないこと、わからないことだから)その前提で、学生さんはわからないことをわからないままにせず、「なぜそれをするのか?」と考える姿勢が大事です。質問の質より、学ぶ姿勢が見られています!
③ 指導者さんが怖くて、話しかけづらい

指導者さんは表情がきつくて怖そうだなあ…。行動計画の発表で、ちょっと怒られたらもう無理…。報告嫌だなあ…。

忙しい仕事以外に、さらに学生担当をしているから余裕がないなあ。本当はもっと声をかけてあげたいけどなあ。実は学生を担当する緊張はこっちも一緒。ニコニコなんてできないな。限られた時間で多くを教えようとして、つい口調が厳しくなっちゃうな。
ワンポイントアドバイス

学生間での指導者さん情報で「怖い人」と固定観念を持っていませんか?指導者さんを人として見てみましょう。指導者も忙しい勤務の中、「責任ある立場」で学生指導に緊張している場合もあるります。相手を「怖い人」と思うより「教えてくれる先輩」として見直してみて◎
④ 指導者さんに褒められない、認めてもらえない気がする

毎日指摘ばかり…。指導者さんに、全然評価されない…。ダメなところばかり言われて自信をなくす…。私は向いていないのかな?…。私なんて…。

良いところは“できて当然”と思ってしまっているところもある。事前学習してきていると聞いているしなあ。注意点は“その場で伝えなければ”という責任感がある。実習期間中に多くを伝えてあげなければ…。
ワンポイントアドバイス

指導者さんもたくさんの思いを持っていることがわかりますね。”評価されない=ダメ”ではないです。指摘は学生さん自身を否定している訳ではありません。注意された内容も「成長を期待されている証拠」だから、落ち込むより“伸びしろ”と受け取ってみてください。
まとめ:指導者は看護学生の成長を誰より願っている存在

さてまとめです。今日の記事は参考になった部分はあったでしょうか?
- なぜ実習中に指導者が「怖い」「つらい」と感じるのか?
- 実習中の学生が困っていること & 実習指導者が思っていること
- 実習中の”怖い指導者”の申し送りへの戸惑い
実習の中では、臨床指導者による厳しい言葉や悔しい場面もあるかもしれません。でもそれは、あなたに本気で向き合ってくれている証です。どうでもいいと思っている相手に、わざわざ注意なんてしません。
怖いなと感じたその先輩も、あなたが卒業し、現場で働く日を心まちにしています。なぜなら学生さんは、以前の臨床指導者の姿だからです。臨床指導者をする立場になるまでに、たくさんの経験をしてきています。その中には、学生のうちに学んでおけばよかったと感じている内容もあるでしょう。自分の経験をもとに指導者も学生さんたちに伝えようとしているのです。
学生のうちにしか聞けないこと、体験できないことを、ぜひ全力で吸収してください。そしていつか、自分が指導する立場になったとき、今の経験があなたの糧になります。
「質問できた自分、すごい!」「今日も頑張った!」そんなふうに、毎日自分をを少しずつ褒めてくださいね。あなたは、今日も確実に成長しています。大丈夫、その調子!

miu|助産師・2児の母・ブログ運営中
20年以上、病院で助産師として勤務。新人時代の不安や戸惑い、子育てと仕事の両立に悩みながらも、周りに支えられてここまできました。
このブログでは、助産師学生・看護学生、そして働くママたちが「今日もがんばったね」「ちゃんとやってるよ」と、自分を優しく認められるような言葉を届けています。
あなたがちょっとだけ元気になれる、そんな場所になりますように。