新人・学生さんへ|迷った時は「家族だったら?」の視点で

新人さん・学生さんへ 『家族だったら』が看護のヒントに」と書かれたブログ用アイキャッチ画像。ナース服の女性と犬のイラスト入りで、優しいベージュ系の背景。看護における視点の大切さを伝えるデザイン。
黄色のストライプと花柄を背景にしたメッセージ画像。「この記事の伝えたいこと」の吹き出しの下に、「“家族だったらどうするか”を考えることは、目の前の人に本気で向き合うための原点です」という言葉が中央に書かれている。

結論:“家族だったらどうするか”と考えることは、目の前の人に本気で向き合うための原点です。迷ったときは自分に問いかけてみましょう。


はじめに

こんにちは、miuです。

看護学生さん、助産師学生さん、そして臨床現場で頑張る新人さんは、日々の実習や業務の中で、こんなふうに感じたことはありませんか?

  • やることが重なって、何を優先すればいいかわからない
  • 時間がないのに、また新しい課題がきた
  • 怖い先輩や臨床指導者に相談したくても、躊躇してしまう
  • 正直、疲れていて「めんどくさいな」と思ってしまう…

実は、これらの迷いや葛藤は、誰にでもあることです。
でも、そんな時こそ思い出してほしい、ある問いかけがあります。判断に迷ったときの「ひとつの基準」です。

「自分の家族だったら、どうする?」

目の前の患者様が、自分の親だったら?きょうだいだったら?恋人だったら?そう考えるだけで、
「やらなきゃいけないこと」が、「やってあげたいこと」に変わるかもしれません。

今日はこのテーマで、みなさんと考えていきたいと思います。


忙しさや不安に流されそうなときこそ

学生さんや新人さんにとって、現場は本当に忙しいですよね。

「慣れていない手技に時間がかかり、報告・連絡・相談のタイミングも難しい…」
「ちょうどやることが重なってしまった」「この内容、先生に相談しなきゃだけど…」
そんな状況が日常茶飯事です。私も現場のスタッフですから、同じ状況はよくあります。それに、正直に言えば、「面倒くさい」「今日はもう疲れた」と思う日だってあるはずです。

でも――
そこで「まあいっか」と見て見ぬふりをしてしまったら、どうなるでしょうか?

やらなかったことで一時的に気は楽になるかもしれません。
でも後で、「やっておけばよかったかな」「患者さん、大丈夫だったかな」
そんなふうに思い返して、もやもやしてしまうこともあるかもしれません。

やることが多くて追い詰められた時の新人さん・学生さんの気持ちについてまとめてみました。あてはまることも多くあるのではないでしょうか?

心の状態具体的な気持ちや行動
頭が真っ白になる何から手をつけていいか分からず、すべてが「今すぐ必要」と感じてしまう。思考が停止してしまう。
自分は向いていないと思う他の人と比べて落ち込み、「自分だけができていない」「辞めた方がいいのかも」と思ってしまう。
怒られそうで怖い・不安ミスや指導者からの指摘が怖くなり、失敗への恐怖で行動が縮こまる。
泣きたいけど泣けない感情が限界に近づいていても、「泣いたら甘え」と思って我慢してしまう。
誰にも頼れない気がする周りに遠慮して助けを求められず、ひとりで抱え込んでしまう。
心の奥にある本音「ちゃんとやりたいのにできない」「がんばってるって言ってほしい」など、認めてほしい気持ちがある。

現場で感じる心の揺れと、その奥にある本音を言葉にしました。
不安や戸惑いの背景には、がんばっている証があります。

こんな状況になると、その現場から逃げ出したくなる、手を抜こうとしてしまいたくなる…。こんなふうに思ったこともあるのではないでしょうか。

自分が看護師・助産師に向いていないなと思った時に読む記事を他の記事でも紹介しています。そちらも参考にしてみてください。→看護師・助産師に向いていないと感じた人へ|悩んだら読む記事

miu
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やることが多くて、このような気持ちになってしまうことは、状況的にあなたが追い詰められてしまっているからです。初めから「手をぬきたい」「逃げたい」なんて思わないですよね。状況がそうさせているのです。あなた自身が「向いていないから」ではないですよ。まずは状況の改善が必要ですね。

なぜ手を抜きたくなるのか

では、心理的になぜ逃げ出したくなるのでしょうか?少し深掘りしてみましょう。

手をぬきたくなる気持ちの背景(新人さん・学生さんの心理)

状態・背景内容・具体例
頭も心もパンパンで余裕がなくなる「もうこれ以上考えられない」「覚えることが多すぎる」→キャパオーバーで一時的に“やらない”選択をしたくなる
頑張っても報われないと感じる「一生懸命やっても評価されない」「また怒られた…」→達成感や承認が得られず、やる気がしぼんでしまう
自分を守りたくなる「怒られたくない」「失敗したくない」「恥ずかしい思いをしたくない」→これ以上傷つかないように、逃げたくなる・休みたくなる
完璧を求めすぎて疲れてしまう「ちゃんとやらなきゃ」「絶対にミスはダメ」
→真面目な人ほどエネルギーを使い切って、サボりたい気持ちが強くなる

手を抜きたくなる気持ちの背景には、こんな心の状態が隠れていることがあります。
「サボりたい」ではなく「余裕がほしい」という心のサインに気づけるヒントをまとめました。

サボりたくなる気持ちの本当の意味は、「疲れた」「助けてほしい」「ちょっと休ませて」というサインです。「怠けたい」ではなくて、「もうちょっと余裕がほしい」気持ちが隠れていることが多いんです。あなたが悪いわけではなく、状況がそうさせているのですね。

miu
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学生さんや新人さんの駆け出しの時は、どうしても頑張りどきはあるかもしれません。でも、少しの余裕を持って行動したいと思うことも多くありますよね。一つは慣れもありますが、自身の時間や優先順位の取り方などの工夫で乗り越えなくてはいけないこともあります。ぜひ、「自分のやり方」を見つけてくださいね。


やらない理由は、意外と“解決できる理由”かも

状況的に追い込まれて、サボりたい気持ちになると、今度は「やらない理由」を見つけようとします。人は誰でも、「やらない理由」を見つけるのは得意です。

では「やらない理由」を「解決できる理由」にするはどうしたらいいでしょうか?これは実は簡単なことかもしれません。意外と解決しちゃうことも多くあります。

  • 時間がかかると分かっているなら → 早めに動くことで対処できる
  • タスクが重なったとき → 優先順位を考えて整理すれば対応できる
  • 相談しづらい先輩がいる → 勇気を出して一言だけ伝えてみる

意外と、自分で解決できることが多いんです。
嫌なことは「さっさと済ませてしまう」という発想も、意外と役に立ちます。

miu
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やらない理由は作るのはみんな得意なんですよね。「今日は〇〇だからやらない」「明日△△だからその時に…。」なんていくらでも思い付きます。でも、タスクをこなすには優先順位や、自分の力量を踏まえた行動を見直すことも大事ですよね。嫌なことは後に回しがちですが、早く終わらしてしまうと、後の仕事がとっても楽になったりします。結果自分のためになっているということがほとんどですね。


迷った時の自問自答

大変な状況はその時その時でありますが、何より大切なのは、患者さんのことを第一に考えることあなたの手を待っている人がいる。そう考えると、自然と「やらない」という選択は、取れなくなるものです。

私自身も、現場でこう考えています。

「自分の家族(大切な人)を大切にするように、患者さんに向き合う」

私の一番大切な人は家族です。みなさんはどうですか?もし、その患者さんが自分の大切な人だったら、どうでしょうか?その人のことを思い、最善の策を考えて、その人が良い方向へ向かうことを目指すのではないのでしょうか?そして自分も大切な人のためならやっぱり頑張れるんですよね。

迷った時は今でも、私はこう自問自答しています。

この患者さんが、自分の家族(大切な人)だったら? それでもやらない?」

逃げたくなる時、楽をしたくなる時、人間なら誰でもあります。でも、その時こそ、この問いかけが力になります。大切な人には、元気で、笑っていてほしいですものね。

実際、患者さん自身も、誰かの大切な人です。その方が大事にされているとわかったご家族は、患者さんと同様に喜んでくださるでしょう。あなたのそのケアは、患者さんとその患者さんを思う人へもケアしているということにつながります。

そして最後に「やり切った自分」には、達成感や誇り、やりがいが残ります。自分も心が晴れやかになって、自然と笑顔がこぼれます。そして結果的に、プライベートの時間も充実するんですよね。後悔やモヤモヤを引きずる時間は、もったいないですから。


まとめ:大切な判断軸を、あなたの中に

黄色のストライプと花柄を背景にした応援メッセージ画像。「大丈夫!」「できる!」「自分らしく!」の吹き出しの下に、「逃げたくなる時、楽をしたくなる時、それでも“やり切った自分”には、達成感や誇り、やりがいが残ります」という励ましの言葉が中央に書かれている。

さてまとめです。今日の記事はいかがだったでしょうか?

迷ったとき、困ったとき、逃げたくなったとき――ぜひ、心の中でこう問いかけてみてください。

「自分の家族(大切な人)だったら、私はどうする?」

これは、あなた自身の判断力を磨き、行動に責任と優しさを持たせてくれる大切な問いです。

日々の忙しさに流されそうなとき、不安で立ち止まりそうなとき、自分を動かす「小さな勇気のスイッチ」として、心に置いてみてください。

そして「やり切った自分」を、ぜひあなた自身が褒めてあげてくださいね。

miu
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miu|助産師・2児の母・ブログ運営中

20年以上、病院で助産師として勤務。新人時代の不安や戸惑い、子育てと仕事の両立に悩みながらも、周りに支えられてここまできました。

このブログでは、助産師学生・看護学生、そして働くママたちが「今日もがんばったね」「ちゃんとやってるよ」と、自分を優しく認められるような言葉を届けています。

あなたがちょっとだけ元気になれる、そんな場所になりますように。